食育のススメ
       
1.序文  2.食育のすすめ  3.スローフード(遅食)  4.海洋汚染の話  5.天然物は本当に安全か   6.つくり育てる漁業  7.なぜフードトレーサビリティは必要か 

  <序 文>
 戦後50数年−。日本は高度経済成長と共に、人々の暮らしは豊かになりました。便利で合理的なアメリカ文化は、またたく間に日本人に受け入れられ、気がつけば“物つくり”文化の日本が、“消費大国”へと生まれ変わっていきました。瀬戸内海風景
 そして21世紀の現在−。インターネットの普及などにより「世界」が身近に感じられる今日、20世紀に作り出した世の中が、世界レベルで目に見えない速度で崩れ始めてはいないでしょうか。環境汚染、地球温暖化・・・。
 21世紀、私たちは本来あるべき姿にもどらなければ、いけないのではないでしょうか。
 
       
  <食育のススメ>
 学校給食に米飯給食が導入されたのは、1976年頃のことだそうです。戦後の学校給食はパンであり、米飯給食導入後も現在に至って、ようやく米飯回数がパン回数を超えるようになったようです。
 1950年、戦後の食糧不足の中で、アメリカのガリオア・エロア資金(※注)による小麦の無償配給に始まったわが国の完全給食は、翌年ガリオア・エロア資金が打ち切られたにもかかわらず、一貫してパン給食の道をたどりました。
 これらの事情が、本来米飯中心だった日本人の食生活が、パン中心の食生活に移り変わった原因だとも言われています。
 現在は家庭に器具がなくても、お金を出して購入す戦後の子供たちれば簡単に食べ物が手に入る世の中です。そこには、親の愛情や栄養のバランスなどは、一切含まれていません。
 この様な現状で、子供たちの食生活の原因による健康面の問題が、指摘され始めています。(肥満、疲れやすい、キレやすい・・・)以前であれば、子供たちも家庭の中で自然に学んでいた「食」に関する知識も、今日ではあえて積極的に教えていかなくてはなりません。
 「自分の食べるものは自分で責任をもつ」、「食の自立」、「食への関心」この3つを常に意識をもって、日々生活していくことが大切だといえます。
 今までは家庭や学校が、おじいちゃんやお母さんが教えてくれた、「食の知識」を自ら学んで身につけていくこと−。
 私どもでは子供たちと一緒に、「食育」を推進してまいります。
 
       
  <スローフード(遅食)について>
 スローフード協会の誕生は1986年、イタリア・クネオ州のランジェ(Langhe)地区から始まり、国際的な広まりは1989年、パリで行なわれました。(現在、本部はイタリア・ブラ地区にあります。)その宣言書に含まれていた定義は、非常に明瞭なメッセージを伝えています。
        【味わう権利の保護】
スローフードは大規模で国際的な運動になり、「楽しみ」の概念が多くの意味をもつようになり、現在協会では7万人以上の会員を有するまでになりました。
 スローフード協会会長カルロ・ペトリーニ氏は言います。「我々はスピードに束縛され、習慣を乱され、個々の家庭の中にまで侵入し、時間のない我々にファストフードを食べざるをえない、ファスト・ライフというウィルスに感染しています。そこで私たちは聡明さを取り戻し、滅亡の危機へと追いやるスピードから、自らを解放しなければなりません。」と。私たちはますます絶滅しそうな様々な生物を復活させる努力や、消える危険のある製品、什器、および動物を復活させる努力を、しなけスローフード協会本部ればなりません。
 現在日本でも、郷土食やその土地土地の食材を見直そうという、動きが起こっています。つまり、良質の食材を食べ、食事の時間を豊かにもち、地場産の食材を積極的に食べ、そして子供たちの味覚を大切に育てようという活動です。
 短時間で済めてそこそこ美味しいファストフード。しかし、心までは豊かにしてくれません。昔の日本には、お母さんが子供たちの栄養のために工夫した、美味しいご飯がありました。そこにはお母さんの「知恵」と「愛情」があったのです。そして家族みんなで同じものを食べ、同じ時間を共有し、そこには豊かな時間が流れていました。「その頃に戻ろうよ」とは言いませんが、もっとゆとりある「食」に対する時間を、見つめ直したいと考えています。
 私どもでは「食育」と共にスローフード(遅食)も推進して参ります。
 
       
  <海洋汚染の話>
 最近海の環境ホルモン問題が、盛んに取りざたされています。海が汚染されているのです。
 工業排水、家庭排水、海を汚染する原因は一様に挙げられますが、最近では原油汚染も増えているのです。
 今から約6年前、私たちの記憶に新しいと思いますが、ロシア船籍「ナホトカ」号の沈没による重油流出事故(日本海)、同じく平成9年ダイヤモンド・グレース号の沈没による重油流出事故(東京湾)が挙げられます。日本だけではなく世座礁するタンカー界中で頻発しています。海が悲鳴を上げているのです。
 海に流がれ出した原油は次第に薄く広がっていき、海水と区別がつかなくなる程に薄くなります。また、海水に溶けるのはほんの一部のみなので、最終的には風や波によって、近くの海岸に流れ着いてしまいます。さらに石油にはタール状の揮発成分が多く含まれており、それらが空気中に揮散すると、最終的にはタール状の揮散しにくい物質が残ります。一般にこれをオイルボールと呼び、波や風によって広範囲に海岸や砂浜に流れ着いたり、海底に沈んだりします。まれに、バクテリアなどに分解され、無害化することもあるようです。
 
       
  <天然物は本当に安全か>
 海がどの様な原因であれ汚染されると、私たち人間に与える打撃は甚大なもので、またその被害は広範囲に及びます。
 海の生態系は植物プランクトンから、成り立っているといえるでしょう。さらに植物プランクトンに関して言えば、海の中に溶け込む栄養を吸収し、光合成回遊する鰤(ぶり)を行い栄養を得ます。最終的にこれらプランクトンは、死骸になり海底に沈み、深海に生息するバクテリアなどにより、リンや窒素といった栄養に分解されます。これはプランクトンが、海の上層部の栄養を海底に運ぶことになります。これを「生物ポンプ」といいます。しかし、このままでは上層部の栄養が不足してしまい、植物プランクトンの増殖が止まってしまいます。このことを「栄養塩制限」といい、逆に海底では光エネルギーが不足してしまいますが、このことを「光制限」といいます。
これらの植物プランクトンが生産者の役目を果たし、あとには基本的に第一次生産者として動物プランクトン、第二次生産者として魚介類、さらにその上に哺乳類などと続きます。
生物が外界から取り込んだ物質を体内に高濃度で蓄積する現象を「生物濃縮」といいます。食物連鎖的にみれば、上記で述べた海の生態系の“第二の消費者・魚介類”を消費するのは、人間ということになります。
このような現状で、果たして本当に「天然物」は安全、安心と言えるでしょうか。巷では天然物の魚介類は珍重され、値段も高価なことが当たり前になっています。しかし私たちは今一度よく考え直し、自分の「食」に対する知識を深めるべきではないでしょうか。それからでも、天然物を再評価しても遅くはないと思います。
 
       
  <つくり、育てる漁業>
 一口に作り育てる漁業といっても、内容の違う漁業が2種類あります。その1つは「栽培漁業」です。栽培漁業は育てて獲る漁業のことをいい、人工的に卵をかえし稚魚まで育て、川や海に放流し、大きくなってから獲る漁業のことをいいます。もう1つは「養殖漁業」のことをいい、人工的に卵からかえした稚魚を、いけす(魚を生きたまま飼育する場所)の中で餌を与えて育て、大きくしてから出荷する漁業のことです。
 つくり・育てるために魚が、傷ついたり死んでしまってはいけないので、良い環境は絶対条件といえます。栽培漁業、養殖漁業は海の汚れを調べたり、海底を掃除したりして海を守りながら魚を育てています。
 「天然物」と同じ様に「養殖物」も、もう1度見直愛媛の真鯛養殖風景すべきではないでしょうか。養殖の魚介類は、天然物に比べ値段が安価ですが、上に述べた通り、大事に育てられています。安価だからといって、手を抜いて育てているわけではないのです。魚に与える為の莫大な餌代、魚に傷がつかないように、手間もかけています。私たちが消費するまでに、たくさんの人々の手と愛情が込められているわけです。私たちの知識が深まり、養殖魚が見直され、より多く消費されるようになれば、海の環境も段々と良くなるのではないでしょうか。海の汚染も徐々に改善され、激減した魚が戻ってくる日もそう遠くないかもしれません。
 
       
  <なぜフードトレーサビリティが必要か>
 トレーサビリティとは、Trace(追跡)+Ability(可能)のことです。つまり、消費者の私たちが安全・安心を追求する上で、製品の製造から流通までさかのぼって、履歴が調査できるというシステムです。
 もともとは、アメリカで公衆衛生のための、病気発生調査及び食品リコールに、役立てるという目的でつくられました。追跡可能性を「記録された識別による実態の履歴、適用あるいは位置をトレースする能力」として定義されました。
 フードトレーサビリティ<食育のススメ>の頁にあるように、私たちは自分の食べるものに、責任をもたなければなりません。安全・安心・健康を追求する権利があると同時に、『知らなければならない』という義務も発生するのです。
 私どもではフードトレーサビリティの推進を、企業側とそして消費者両者への、お役立てができるよう努力し続けてまいります。